THE FUTURE TIMES 第4号が完成しました。
表紙は『NARUTO -ナルト- 』の岸本斉史さんが描いて下さいました。縁側から覗いた家族の、団らんのひととき。何気ないひとコマですが、とても温かい感触に溢れています。
インタビュー記事には、最新作『希望の国』が話題の園子温監督、作家の乙武洋匡さん、女優の松田美由紀さん、コミュニティデザイナーの山崎亮さんが登場。それぞれの想い描く “未来” について語っていただきました。
エネルギーの記事では、いとうせいこうさんと山口県熊毛郡上関町祝島を訪ねました。島の対岸に予定された上関原子力発電所と、その建設に反対するデモ。デモはなんと30年も続いています。豊かな島の自然と人々の暮らしを見学しながら、デモの話だけではなくて、様々な話題について、せいこうさんと対話しました。対談の全文は後日、web版としてもアップします。
また、第4号の紙面にはアナログフィッシュの楽曲『抱きしめて』のフリーダウンロードコードを添付しました。今を生きる僕たちに必要なフィーリングを有した素晴らしい楽曲ですので、是非ダウンロードして聴いてみて下さい。
そして、今号の特集記事は『それぞれのふるさと』と題して、福島第一原子力発電所にほど近い福島県の地域を訪ねました。震災直後から現在も南相馬市で捜索活動を続ける消防団『福興浜団』のフォトジャーナリスト・渋谷敦志によるドキュメント、誘致の声によって完成した子供たちのための室内公園『ふくしまインドアパーク 南相馬』、川内村村長・遠藤雄幸さんの『帰村宣言』にかける想い、20km圏内の富岡町を故郷に持つミュージシャン・渡辺俊美さんのインタビュー、この4本の記事を掲載します。
僕たちは、原発事故以降、様々な分断の中を生きています。例えば、放射能のリスクに対して、避難する人、しない人。行為にだけ注目すれば結果はふたつしかありませんが、人の数だけ、それぞれの選択があり、それぞれの “理由” があります。それでも巷には、マルバツクイズのようにふたつに分けて、お互いに厳しい言葉を投げ合うような風潮があります。
こういった分断には、想像力を持って抗わなければなりません。身体性を全く伴わない空想のことを “想像力” と呼ぶことはできないと思います。人の声に耳を傾けること。それぞれの立場や理由を知ろうとすること。そして思いやること。思い合うこと。それが本当の意味での “想像力” ではないでしょうか。
分かりやすい旗印となる言葉のもとに、人々をひとつのイメージのもとにまとめて語るのには無理があります。一方的に行われるイメージの単純化は、それは人間それぞれの顔を奪うような行為です。相手がのっぺらぼうであれば、その無機質さや匿名性に向かってどんな乱暴な言葉でも吐き出せてしまいます(もっとも、それを乱暴だとすら思っていないことがほとんどですが)。そして、その言葉は更なる軋轢と分断を生み出します。
震災から1年と9ヶ月。
僕らが本当に考えなければいけないこととは何か。この分断の元凶とはなんだったのか。紙面にはそれを直接書きつけてはいません。ですが、それを考えるきっかけとして、THE FUTURE TIMESが存在してくれたら嬉しいです。
第4号が皆様に届く、そのときを願っています。
WEB版も随時更新していきますので、よろしくお願いします。