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未来について話そう

編集長通信1/2 『LOST』に寄せて


 The Future Times 創刊号にDLコードを添付しています、私のソロ作品『LOST』のミュージックビデオをYouTubeにアップしました。




 ディレクターを務めてくれたのはPerfumeやサカナクションのビデオでお馴染みの関和亮君。そして、振付けは同じくPerfumeの振付けを担当しているMIKIKOさん。(ふたりは着ぐるみの中に入ってビデオ出演もしてくれました。)撮影は矢部弘幸さん。皆さんは同志として、行為そのものをThe Future Timesに寄付して下さいました。コーラスはYeYeという京都のシンガーソングライターが参加してくれました。

 また、撮影は『Studio EASE』さんが無償でスタジオを提供して下さいました。本当に感謝しています。

 この曲はタイトル通り、“喪失” を歌った曲です。誰しもが等しく “死” という絶対的な “喪失” からは逃れられないことを考えながら、同時に、今ここにある “生” に対する愛おしさを歌った曲です。歌詞の中にある “全てを失うために 全てを手に入れようぜ” 、このストレートな一節が、この曲の幹なのだと思います。

 『LOST』は、震災の前に書きました。日々の生活の中、目の前を通り過ぎていくことの全てを、もう少しだけ愛したい。それはいつかなくしてしまうからこそ。そんなことを考えながら、書いた曲です。この瞬間に出会うものを目一杯感じたいという気持ちと、“生きること” そのものに宿る “悲しみ” としか呼びようのないフィーリングを曲に込めました。なんとなく、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのスタジオには持っていかずに、大切に自分の中で温めておいた曲です。今年になって、込み上げるように完成しました。

 この『LOST』のフルバージョンは、以下のサイトから有料でダウンロードできます。

「THE FUTURE TIMES Online Store」
http://www.ec-spmltd.com

 販売という方法を取っていますが、実際には寄付としての意味合いを持たせているつもりです。値段は100円から、この音源をダウンロードするひとが、それぞれ決められるようになっています。収益は、広告を取らずに発行しているThe Future Timesの制作費に使わせていただきます。

 どうして広告を取らずに、自己資金で運営しているのか。それは、この新聞の制作自体が社会に対する行為としての寄付だからです。自分が属するこの社会が少しでも良い方向に進んで欲しい。そのためならば、多少の出費は惜しくありません。編集スタッフ一同も、行為自体を寄付してくれています。これには感謝の気持ちしかありません。


 お金を出すことだけが復興支援ではないと、私は考えています。

 分かりやすく行為そのものが金銭に変換されることに、労働があります。それとは別に、貨幣価値という物差しでは量れない価値が宿る行為が、世の中にはたくさんあります。そういう少しずつの行為としての寄付が、我々の社会を良い方向に向けるのだと私は信じています。

 そのような心持ちで、The Future Timesを続けていきたいと思っています。

 聴いて下さった皆さん、どうもありがとう。それぞれの生活が、それぞれに少しだけ愛おしくなるような、音楽はそういう類の魔法であることを信じて止みません。『LOST』も、そんな1曲であったら嬉しいです。


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2012年01月02日