創刊号が完成しました。テーマは「住まう」。住むこと、住み続けること、現代の我々が直面しているとても大きな問題について、真っさらな気持ちで考え直したい、そんな想いで編集部一同、取材/記事制作に取り組みました。
津波の被害だけではなく、原発事故の影響がとても重くのしかかっていることは、誰の目にも確かなことだと思います。アンタッチャブルな地域を空洞のように生じさせてしまったことで、原子力発電所近辺だけでなく東北全体の沿岸部の復興へ歩幅に影響が出ていることを感じます。あの事故さえなければという思いが、多くの人の胸に、今でも強くあります。
そういう厳しい現実の中でも、ささやかな希望の芽がいろいろな場所で地表に顔を出し始めています。The Future Times創刊号では、そういったいくつかの希望を記事にできたと思います。
一方で、代弁のできない言葉も集めることにしました。多くのメディアで、様々な角度から集められていることは知っていましたが、我々も独自の視点で福島県の人々のインタビューを行いました。とても複雑で、いびつな構造によって、彼らだけがその重荷を背負わされているように私は感じます。この問題は、すべての人が当事者になるべき事柄です。他人事ではありません。福島の人たちだけに差別的な感情を投げつけずに、強い気持ちで解決していかなければならない問題です。
創刊号は、創刊準備号の倍、28ページの分厚い記事になりました。かなり読み応えがあると思います。少しでも、皆さんが何かを考える役にたってくれれば幸いです。そして、それを自分の身の回りにフィードバックして下さい。そして、ゆくゆくは我々の場所までエネルギーを戻して下さい。我々も、新聞を作ることで学び、皆さんの返してくれたエネルギーからも学び、進んでいきたいと思っています。
夜明けはまだまだ先です。我々は、はっきりと闇の中にいます。ただ、弱いひかりがそこかしこに灯っています。そのひかり達を、今後も取材し続けたいと思います。同時に、闇の深さについても考え続けたい。
創刊号が皆さんの手元に届くことを願っています。また、このWEB版も紙面とは違うインターネットの特性を利用して、ますます充実させていきますので、よろしくお願いします。