いわき市・20代女性(団体職員)

 地元は、福島の滝根町という所です。最初に原発が爆発した時は、いわきから実家に避難しました。ニ回目の時は、避難してくる富岡や大熊の方も口々に 「日本にいたらマズい”」くらいのことを言っていました。 「ニュースで言ってることも全部嘘だから」 と言われて、妹と一緒に姉がいる埼玉に避難しました。

 いわきに戻ることは凄く悩みました。東京に避難したまま職場を辞めてしまった同僚もいます。 「こんなに線量が高いのに帰りたくない」と思いましたが、私よりも幼い妹が福島に戻るという状況で私だけ逃げるのもどうかと思い、戻ることにしました。

 いわき市で久之浜地区が唯一、保障の対象になっているんですよね。だから、怒りの度合いが違うんです。町に帰れない相双地区、大熊や楢葉の人達と同じようにお金が貰えるんですよ。東電のお陰で、倒産しかけていた建設業の方の仕事が増えたことは事実なんです。それから、宿泊者がゼロに近かったいわきの民宿なども、原発復旧の関係で満室状態なんです。だから複雑ですね。事業主さんも恨むに恨めないところがあるのかなと思います。

 久之浜に人々が戻ってくるのはすごく嬉しいんです。復活した商店街に入居している方は旧道沿いで、津波と火災の被害が何もない方が多いんですよ。なので、戻ってお店を開いてもらえるのが嬉しいですし、お客さんが来て「戻って来て良かった」 って言ってもらえると嬉しいです。ただ、若い子達が戻ってくることについては、なんとも言えないですね。本音で言うと、私も仕事がなければ今からでも県外に出たいくらいです。妹も連れて逃げたいくらいです。

 東電には頭に来ていますけど…。福島に誘致してしまったのは福島県民の責任でもありますし…。それと最近は “福島出身”って言いづらいですね…。すごく悲しいです。福島に対する話が色々ありましたよね。本当かどうかは分からないんですけど、車にイタズラされたとか。あと逆に 「福島は悪くない」 みたいなことを聞いてしまうと、ちょっと言いづらいです。今後、差別される心配もあると思います。実際、福島出身者とは結婚したくないと思われるんじゃないかと…。